新型コロナウイルスと口腔ケア

みなさん、こんにちは。
勝沼歯科医院の勝沼隆之です。

今年のゴールデンウィークはどう過ごされましたか?
色々と予定を立てていたけれど、やむなく断念されたという方も多いのではないでしょうか?
今年は残念でしたが、今年の分まで来年楽しむために今は辛抱の時ですね。

さて、今回もまた新型コロナウイルス関連のことについて書かせていただこうかと思います。
昨年末に中国武漢でこの新型コロナウイルス感染症が初めて報告され、それ以来今日まで膨大な量の情報が日々飛び交い続けています。

歯科に関していえば、
歯科医療従事者の感染リスクの高さや
この時期に来院することがどれだけ危険か
というような特集が組まれていたかと思えば、
ここ最近は、
口の中を清潔にすればコロナに感染しない
歯磨きをして、コロナに勝とう
というような話をよく耳にします。

はっきりと言いまして、これらの情報は誰の身を守ることにも繋がらないと私は思います。

なんて言うと、ちょっと言い方が良くないかもしれませんが・・・

感染リスクの高さやこの時期のご来院についての詳しいお話は、スタッフブログの方に書かせていただきましたので、もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら是非ご覧になってください。

今回は、口腔衛生とウイルス感染症について、少し書かせていただきます。

今、口腔内を清潔にすることはウイルス感染症のリスクを下げる ということがテレビなどでもよく取り上げられております。

これに関しましては、その通りだと私も思います。
今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために歯科ができる一番大きな貢献は、ズバリ口腔衛生指導だと、私は考えております。

なぜ今回の新型コロナウイルスと歯磨きがつながったかと申しますと、
それは、高齢者を対象に行われた研究で「歯科衛生士による専門的なケアを受け、良好な口腔衛生状態が維持できていると、そうでない人と比較したときにインフルエンザウイルスの感染率が10分の1になりましたよ」という論文から、今の話へと繋がっているのだと思います。

参考文献
日歯医学会誌:Vol.25,27-33,2006
「口腔ケアによる細菌性酵素活性の減少とインフルエンザの感染予防」安部修、石原和幸、足立三枝子、佐々木英忠、田中甲子、奥田克爾

新型コロナウイルスも同じウイルスです。この両ウイルスは人への感染経路も似ているため、口腔内をきれいに保つことは、新型コロナウイルスにしてもまず間違いなく感染率を下げることにつながるかと思います。

ですから、そういう視点から考えても口腔内を清潔に保つことはとてもとても大切です。
しかし、口腔内を清潔にすることは、ウイルスの感染予防を目標にしているわけではありません。
セルフケアや定期検診はあくまでむし歯や歯周病という病気から身体を守ること目的に行います。その副産物?としてウイルス感染や誤嚥性肺炎の発症率を低下させ、あるいは他の様々な病気の予防にも繋がるということです。

口の中を清潔に保つということは、それだけ身体にとって重要なことなのです。

重要なのですが、ウイルス感染予防のために行うものではありません。

そしてもう一点。

ウイルス感染対策には、口腔内を清潔にするよりも大切なことが沢山あります。
テレビなどの偏った情報は、一歩間違えると「歯磨きさえちゃんとしていれば新型コロナに感染しない」というような誤った認識につながってしまうのではないかと危惧しています。

ウイルス感染への一番の予防は、
手指消毒含めた手洗い、うがいをはじめとする感染予防
不特定多数の方が触れるものに触れた際は特に注意しましょう。
そして3密を避ける。 等々

これらを徹底していくことがまず第一です。

緊急事態宣言が5月末まで延長されました。
勝沼歯科医院もそれに従って、現在診療時間を短縮して診療しております。
患者さんにはご迷惑おかけしております。
こんな時ですが、ご自身の歯のこともどうか大切にしてください。
出来うる最善の感染予防対策をうって、患者さんの不安を少しでも減らせるよう努め診療を行っております。
心配事がございましたらご遠慮なくご連絡ください。

これを見てくださっている皆さんにとって少しでも有益な情報になれば幸いです。
この時を乗り切っていきましょう!