予防歯科とは

お口の中の病気(虫歯や歯周病)を未然に防ぎ、一生涯、自分の歯で健康な生活を送る。そんな誰しもが持つ願いを実現させるための考えです。

毎年冬になると流行するインフルエンザ。
みなさんはどのような対策をされていますか?

もしも、インフルエンザに感染している人が閉め切った部屋の中に大勢いたとして、そこにマスクもせず入っていき一緒に生活していたら、その人もインフルエンザにかかる可能性が高いです。

その人は一度治ると、またその部屋に入っていきます。
するとまたインフルエンザにかかります。
何度も何度もそれを繰り返し、その人はその度インフルエンザにかかってしまいます。何も不思議なことではないですよね。

その人は言います。

「私は体が弱いから、病気にもなりやすいんだよね。でもしょうがないよ、これは体質だから。」

みなさんはどう思われますか?
「インフルエンザのワクチンは打ったのか」
「マスクをつけたほうが良いんじゃないか」
「せめて窓をあけて、換気をしよう」
「その部屋にいる人の治療を優先すれば良いんじゃないか」

おそらく他にも沢山の対処法が思いつくのではないでしょうか。

このような対処法をすぐに思いつくというのも、皆さんがインフルエンザに対しての知識と、その予防法を知っているからこそなのです。

その病気は何が原因で起こるのか?

その病気はどういう状態で起こりやすいのか?

その病気にならないために、どのような対処法があるのか?

これらの知識があるからこそ、「予防」ができます。

では、むし歯についてはどうでしょうか?

直しても直しても、次から次へと新しいむし歯ができてしまう。

そんな経験をされていませんか?

「私は歯が弱いから、むし歯になっても仕方がない・・・」

そんな風に感じていませんか?

少し話は変わりますが、日本と予防先進国と呼ばれている国々との口の中の状況を比較してみましょう。

12歳時のむし歯の本数

70歳時の歯の本数

日本人だけが特別歯が弱いのでしょうか?
いいえ、決してそんなことはありません。

では何故これだけの差が生まれたのでしょう?

実は長年日本の歯科では、「病気になってから手をつける」という後手後手の治療が行われてきました。
「痛くならないと歯医者にはいかない」という方が多い現状からも、世間にもそのイメージが深く根付いているということが分かります。

歯科医療の発達で、歯周病やむし歯は治せるようになりました。
しかし、転んでできた傷や風邪が治るのとは、決定的に違うことがあります。
それは、一度むし歯や歯周病で失われた組織は元通りには回復しない、という事です。
たとえ骨折しようとも、骨は新しい骨の新生によりいずれくっつきます。
インフルエンザで40度の高熱が出ようとも、2週間もすればそのときがウソのように元の体調に戻っている事が多いですよね。

歯や歯周組織ではそのような再生がほとんど起こりません。

そのため、むし歯等で失った部分は、つめるやかぶせるなどをして他の人工物で補うしかないのです。
また歯周病に関してはもっとシビアで、失われた歯の周りの組織(骨や歯根膜など)を回復させる方法はほとんど確立されておりません。
そう考えてみると、
「虫歯になったらその都度治せばよい」
「歯医者は歯が痛くなったら行くところ」
というこれまで常識と思われていた考え方は非常に危険だという事が分かります。

これらの背景には、日本の健康保険制度が関係しています。
誤解の無いよう言わせていただきますが、日本の保険制度は素晴らしいです。医科・歯科合わせてこれだけ広範囲の治療が保険でまかなわれている国は、世界的にも希です。
この制度のおかげで、日本では多くの治療が他国よりずっと負担の少ない金額で受けられます。例えばアメリカでは親知らずの抜歯で50万円掛かるところもあるようです!(ちなみに日本では3割負担で5千円程度ですから、いかに差があるかが分かると思います。)
国民が平等に治療を受けることができる。これはとても素晴らしいことです。

しかし、残念ながらすべてが全て、健康保険でまかなうことができるわけではありません。
医療費にも予算がありますから、健康保険の制度も病気の治療を優先に考えられています。
歯科に当てはめてみると、むし歯や歯周病は病気ですから、これに対しての治療には保険が適応されます。

では、予防に対してはどうでしょうか?
そもそも予防とは、この先むし歯や歯周病にならないために、今現在健康な人が取り組んでいくものです。

健康な人がそれを維持するための制度は、健康保険にはありません。

自分の健康は自分で守る。
確かにその通りですよね。

現在の保険制度の基盤ができたのが、ちょうど戦後の高度成長期の頃です。
その時代を考えれば、現在よりもずっとむし歯や歯周病の罹患率も高かったわけですから、この保険制度は時代のニーズに合ったものだったのでしょう。

しかし、時は流れ時代は変わりました。

今私たちが本当に取り組んでいかなければならないことは何でしょうか?

病気になるまで放っておく事でしょうか?

「病気になってから行く」を続けることでしょうか?

いいえ、私たちの目指す歯科医療は違います。
むし歯や歯周病で歯を失い、悩まれ続けてきた方を大勢見てきました。
不安で笑うことも出来ず、うつむきながら来院される方も沢山いらっしゃいます。
これらの悩みはその方の人生にまで影響するといっても過言ではありません。

もしも、これらの悩みが最初から無かったとしたら、人生はどう変わっていたでしょう?

私たちは、これ以上むし歯や歯周病でお口の中をボロボロにさせたくありません。

自分の歯でいつまでもおいしく食事が出来る。

いくつになっても人前で笑える。

そんな健康のサポートをしていきたいのです。

では、それを実現させるためにはどんなことをしていけば良いでしょうか?

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