補綴治療について(総義歯編5)

みなさんこんにちは。

勝沼歯科医院の勝沼智彰です。

前回に引き続き今回も総義歯治療についてお話させていただきます。

今回は「噛み合わせの記録」についてです!

歯を全て失っている場合、噛み合わせの記録を採る事が難しくなります。

なぜなら、本来噛み合わせとは上下の歯が接触した位置で決まっているものだからです。

歯が全て失われていれば、基準にとなる歯の接触がない訳ですから難易度は当然上がります。

ではこの噛み合わせの記録をどのように行えば適切な、その人が噛みたい位置を記録する事が出来るのでしょうか?

まず、噛み合わせの位置を決める際に考えなければならないのは

1.高さ

2.前後左右の位置

この二つに分けられます。

さらに、咬合平面と呼ばれる歯を並べる時の角度を見ていきます

28本全ての歯を回復させるためにはこの「噛みたい位置」と咬合平面の傾きの記録を採る事が非常に重要になります。

噛みたい位置を記録するためにはゴシックアーチと呼ばれる装置を使います

この装置を使うことにより、高さの微調整が可能となり、さらに前後左右の位置もピンポイントで記録する事ができます。

咬合平面の記録にはフェイスボウトランスファと呼ばれる操作を行い、骨格に対する上顎の位置関係を記録していきます。

しかしこれだけでは確実に、正確な位置が記録できていない場合があります。

例えば、長い期間噛み合わせの位置がずれた入れ歯を使用していた場合

顎を動かす筋肉の働きに問題が生じている場合などがあります。

そのような場合、まず筋肉の働きが正常化するのを待たなければなりません。

そのためには少し特殊な形態をした入れ歯を使用していただく事があります。(治療用義歯)

一定期間この治療用義歯を使用していただくことにより、筋肉の働きが正常化してから噛み合わせの位置を記録していきます。

このようにあらゆる方面から正しい噛み合わせの位置を確認しながらその人が「噛みたい位置」「よく噛める位置」を探し、記録をとっていく必要があるのです。

以前のブログにも書きましたが、保険診療でのルールでは噛み合わせの記録は1回のみです。

当然ここまで正確な工程で治療するには限界があると言わざるを得ません。

歯が全て失われていても、顎の関節やその周りの筋肉などは「噛みたい位置」を憶えているのです。

ですのでいくら適合の良い入れ歯を作っても、噛み合わせの位置がずれてしまっていればうまく食事をすることはできません。

補綴治療において、最も重要な工程がこの「噛み合わせの記録」なのです。