補綴治療について(全部床義歯編)

みなさんこんにちは。

勝沼歯科医院の勝沼智彰です。

さて、今回も歯を失っている所を補う治療について書かせていただきます!

今回は「歯を全て失ってしまった場合」の治療方法である「全部床義歯」についてです。

前回の局部床義歯との違いは、バネなどを掛ける歯が1本も残っていない状態。つまり顎の粘膜のみで支える義歯が全部床義歯といいます。

一般的にこの全部床義歯は術者の技術の差が出る治療とも言われており、特に下の歯の全部床義歯は難しいと言われています。

また、患者さんそれぞれで条件が異なるため、比較的安定した義歯が作りやすい方と、非常に難しい方もいます。

まずは様々な問題点に対してどのように対処していくのか、お口の中の状態を詳しく調べていく必要があります。

しっかりと診察し、治療計画を立てていく事が安定した義歯を作るためには欠かせません!

必要があれば前処置と呼ばれるお口の中の環境整備を行います。

その後

型取り(入れ歯の型を採ります)

咬合採得(噛み合わせの記録をとります)

試適(お口の中に試しに入れます)

装着(完成した義歯を装着します)

調整(当たりや噛み合わせなどを調整します)

といった流れで治療を進めていきます。

しかし、この一つ一つの工程に注意しなければならない事が山程あるのです!

なぜなら、そもそも義歯を支える粘膜は柔らかい組織です。しかし義歯を作るための模型は硬い石工です。そして、歯を全て失ってしまっているので、元々歯があった位置が不明確で、尚且つ噛み合わせの基準となる歯も無いため、噛み合わせの位置を決めるのもとても難しいです。

さらに、被せ物のようにセメントでくっ付ける事も出来ないため硬いものを噛んでも痛みが出ず、外れない義歯を作るためには、義歯の形や歯を列べる位置なども非常に重要になってきます。

歯を失った所は、骨も痩せてくるので、骨が痩せた分のボリュームも補う必要があります。

他にも、専門的な内容でここには書ききれないような事が沢山ありますが、それだけ様々な事を考慮して、正確に、精密に作らなければなりません。

しかし保険診療で認められている作製法ではここまで精密な義歯は作る事が出来ません。

次回はこの全部床義歯について、その作製法なども含め保険適応と自費診療の違いについてご説明させていただきたいと思います!