補綴治療について(総義歯編6)

みなさんこんにちは。

勝沼歯科医院の勝沼智彰です。

今回は総義歯治療の治療工程の一つである「試適」について書かせていただきます。

試適とは服でいうところの試着のようなもので、義歯が完成する前に歯並びや噛み合わせの状態を確認する工程になります。

総義歯は歯が全て失われている状態での治療になりますので、1本1本の歯の位置関係などをしっかり確認しておく必要があります。

例えば、歯を全て並べ終わった状態から1本の歯の位置を修正する必要があったとします。

すると、その両隣の歯も修正が必要になります、さらにその両隣の歯そして噛み合わせの歯も…と結果的に全ての歯を並べ直す必要があります。

入れ歯の歯を並べる作業は非常に時間と手間が掛かります。

しかし適切な噛み合わせを再現させるためには、微調整が必要になる事が多いです。

なのであらかじめ少しずつ並べては試適、を繰り返す方が作業効率は良くなります。

全部の歯をいっぺんに並べて、バッチリ噛める状態になれば良いのですがなかなか難しいのです。

今までの豆知識ブログで紹介してきたように、よく噛める義歯を作るためには精密な型取りや噛み合わせの記録が必要不可欠ですが、最終的にはその義歯がちゃんとつかえるかどうかには上下の歯の噛み合わせが非常に重要になってきます。

また、前歯は表情にも影響しますので、見た目を自然な仕上がりにするためにも試適は重要な工程になります。

見た目、発音、咀嚼機能、義歯の安定などあらゆる方面からお口の環境に調和した義歯を作り上げていくのです。

ですのでこの試適の工程も複数回必要になる事があります。

しかし、保険診療では試適の工程も一度のみとの決まりがあります。

一人ひとりのお口の環境は全て異なりますので、より調和した義歯を作製する為にはより細かく微調整が必要になるという事、そしてそのためには試適という工程で確認を挟む事が非常に重要になってくるという事がご理解いただけたかと思います。

義歯の治療は、歯を補う治療である補綴治療の中でも最も難易度の高い治療と言われています。

型取りから装着まで4回の治療では、精度の高い調和した義歯を作るのは極めて困難な事なのです。

しかし、適切に作製すれば、例え歯を全て失ってしまったとしても失われた機能を回復させる事も出来るという事です!

歯が全て無くなってしまっていても手遅れではありません。

入れ歯でお困りの方は是非ご相談下さい。